サイオンEMで臭いが消える理由
サイオンEMの効果のうちで最も有名なのが臭いが消えるということです。
それはなぜなのでしょうか。
指定悪臭物質22種のうち、トイレやヘドロから発生する主なものは以下の表のようなものと考えられます。
ここでは分かりやすくトイレを例にとって考えてみましょう。
微生物資材を有効に使い、これらのアンモニアや硫化物を分解したり発生阻害をすることでトイレ内の悪臭を減少させるしくみは以下の通りです。
化合物名 |
においの特徴 |
化学式 |
アンモニア |
刺激臭 |
NH3 |
メチルメルカプタン |
たまねぎの腐敗臭 |
CH3SH |
硫水 |
鶏卵の腐敗臭 |
H2S |
硫化メチル |
キャベツの腐敗臭 |
(CH3)2S |
二硫化メチル |
キャベツの腐敗臭 |
CH3SSCH3 |
アンモニアや硫化物の発生するしくみ
尿(水:98%、尿素:2%、ほか)に含まれるたんぱく質や尿素(NH3)2COが悪玉バクテリアの作用で分解されてアンモニアや硫化物が発生する(対策1)。
この際、水溶液のpHが
- アルカリ性 → アンモニアが発生しやすい。
- 中性付近 → 硫化水素(硫化物)が発生しやすい。
という特徴がある。
尿石発生のしくみ
特にアルカリ条件下でアンモニアが発生した場合には、アンモニア自体が水溶性のため一部は揮発する(一次的なアンモニア臭の分散:対策2)が、多くは水に溶けてpHをさらに押し上げる。
- これにより尿中のカルシウム(Ca)がアルカリ条件下で結晶化される。
- カルシウムは多孔質で結晶化されるため空洞に未分解の尿中尿素やたんぱく質などと共に悪玉バクテリアが付着して結晶化する。(尿石)
- 結晶化後、徐々に悪玉バクテリアが尿石中の尿素やたんぱく質を分解しアンモニアを発生させ続ける(二次的なアンモニア臭の分散:対策3)。
以上が硫化物やアンモニア発生の一般的なしくみと考えられます。
サイオンEMによるアンモニア及び硫化物の抑制のしくみ
- 尿素及び尿中たんぱく質の分解阻害(対策1)サイオンEM2号(放線菌主体)を活用することにより悪玉バクテリアの活動を抑制し、アンモニアや硫化物の発生を防ぎます。
サイオンEM2号の主成分はStrepotmyces griseus とその代謝物であるストレプトマイシンです。
ストレプトマイシンはバクテリア体内のタンパク質合成を阻害することにより、その成長や代謝、増殖を停止させます。(バクテリアの細胞内にあるリボゾームという器官の23SrRNA:メッセンジャーRNAに結合して代謝に関与する全てのたんぱく質の合成を阻害します。→死滅して行きます。
これにより悪玉バクテリアは活動ができなくなり、体内での尿素やたんぱく質の代謝がストップし、アンモニアや硫化物を排泄しなくなります。
(人体への影響)この作用は真正細菌(バクテリア)型リボゾームに対してのみ選択的特異性を持ちます。(この意味で、広義の酵素として捉える学説もあります。)ヒトは真核生物に分類されるためこの阻害作用は受けません。
- 尿素及び尿中たんぱく質の分解(対策2)サイオンEM1号を使うことにより尿素やたんぱく質を分解し、悪玉バクテリアの基質をなくしアンモニアや硫化物の発生を防ぎます。
サイオンEM1号を構成している微生物は7種類です。(酵母1、乳酸菌2、光合成細菌2、放線菌1、糸状菌1種類)具体的には以下のとおりです。
資材名 |
菌の種類 |
培地(えさ) |
入っている菌の名前 |
サイオンEM1号 |
酵母 |
単糖、二糖類 |
サッカロミセス・セレビシエ |
乳酸菌
乳酸菌 |
単糖、二糖類 |
ラクトバチルス・デルブルキ
ラクトバチルス・カゼイ |
光合成細菌
光合成細菌 |
硫化水素ガス
アミノ酸、脂肪 |
ラドプロモナス・スパライデス
ラドスピリラム・ルブラム |
放線菌 |
アミノ酸、脂肪 |
ストレプトマイセス・グリセウス |
糸状菌 |
デンプン |
アスペルギルス・アワモリ |
上記の微生物は単細胞生物ですが、体内酵素の種類はヒトのそれとほとんど変わらないくらいの酵素群を持っています。
- アミラーゼ(デンプン分解酵素:主に糸状菌)
- ラクターゼ(乳糖分解酵素:主に乳酸菌2種)
- プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素:主に放線菌、光合成細菌)
- リパーゼ(脂肪分解酵素:主に酵母、乳酸菌)
これらの微生物の代謝や排出酵素を利用して尿中の尿素やたんぱく質を分解してしまい、悪玉バクテリアの基質(えさ)をなくし、増殖を抑えます。
(乳酸による尿石の結晶化阻害効果や光合成細菌による硫化物の分解という二重の防止効果もあります。)
注)この資材は糖蜜を主な基質としているために色素が濃く、タイルなどへの着色の懸念があります。