正しいサイオンEMぼかしの作り方
暈かす(ぼかす)には、匂わすという意味があります。
つまり“発酵して匂いを出す”ということです。
一般的には発酵させる対象は米ぬかです。
米ぬかにサイオンEMを混ぜて発酵させたものをサイオンEMぼかし(またはサイオンEM米ぬかぼかし)と呼んでいます。
サイオンEMぼかしには米ぬかだけを発酵させた物(1型ぼかし)と米ぬかに魚粉や油粕を加えて発酵させた物(2型ぼかし)がありますがこの呼び名はEM業界で名づけた言葉ですので、一般的には通用しません。
サイオンEMぼかしは、環境浄化や土壌改良をする際にとても効果のある資材ですから上手に活用をしてください。
1型ぼかしは環境浄化や水処理、生ごみ処理、農業分野の土壌改良用に活用します。
2型ぼかしは農業分野の肥料用として活用します。
作り方の注意
糖蜜不使用 → 米ぬかの糖質だけでも十分に発酵をするので、あえて糖蜜は使いません。
必要以上の糖質を基質として与えると乳酸発酵過多になりやすく、その結果分泌される乳酸によってPHが下がり酸性に弱い有用微生物は増殖できなくなる可能性が高くなりますので、糖質を添加しない方法をご提案しています。
米ぬか10kgでEMぼかしを作るレシピ
【用意する材料】
- サイオンEM1号(または4号) → 原液20cc
1号と4号の違いは光合成細菌を利用するかしないかの違いです。
ボカシをEMダンゴに使う場合、直射日光があたる水の流れの淀んだ場所を浄化するためにダンゴを投入するようなときには光合成細菌によってアオコを誘発する事があります。
このようなケースは、光合成細菌の入っていないサイオンEM4号を使うことをお勧めいたします。
- 水 → 2000cc(2リットル)
- 糖蜜(使いたい人) → 20cc
- 米ぬか → 10kg
米ぬかはできるだけ鮮度のいいものを使ってください。特に虫が出ている米ぬかは使わないようにしてください。
- 容器(発砲スチロールが最適:ふた付き)
- 新聞紙
注)容器についてはポリ袋などを使う方法が本などに載っていますが、あまり質の高いボカシは出来ないようですのでお勧めしていません。
手順
- 用意した水にサイオンEMを入れてよく混ぜて、サイオンEM100倍希釈液を作る。(PH=5.5の水溶液を作る)
EMを構成している微生物達はPH5.5の条件下で増殖をさせると、GABA(ギャバ)という成長促進ホルモンを多量に分泌します。
すべての動物や植物はATP(アデノシン三燐酸)という物質をエネルギー源としていて、このATPがより効果的に体内で働く助けをするのがGABAを代表とする成長促進ホルモン群だといわれています。
- 大きなトレイやビニールシートの上に米ぬかを入れ、(1)の液をまんべんなくふりかけてスコップや手で米ぬかに希釈液が均等に充分混ざるようによくこねる。
- おむすびを握って押すとポロポロと崩れるくらいの水分量になったら仕込みの完了。(この状態が水分量でいえば35%前後になり、これは固体発酵が最も活発に行われる範囲値です。)
- 発砲スチロール容器の内側の全面(底、左右、前後)に新聞紙を3枚分くらい敷き詰める。
新聞紙には、水分吸収、保温、抗菌などの効果があります。
ただし、万一カビが表面に出てきた場合、毒性の強いカビ(赤や黄色やピンクなどの色)なのか、新聞紙のカラー印刷のインクが付着したものなのかの判別がつきにくいので、新聞紙の接触面は白黒のページを使ってください。
- この容器の中に混合液を混ぜた米ぬかをフワフワの状態で、容器いっぱいに詰めます。(ガチガチに押さえつけて嫌気状態にする作り方では空気を好む放線菌などの有用菌がはびこれずに質の低いボカシしか出来ません。)
- 上から新聞紙をしっかり蓋をするようにかぶせる。更にふたをしたらガムテープ等でキチッと密閉をする。
(このやり方で中身は微好気になり、かつ外部からの空気の侵入はしっかりと遮断できます。ちなみに空気中には254種類前後の雑菌が浮遊しています。)
- この状態で40日〜60ほど置けばだいたい出来上がりです。
ただし効果の高いぼかしにするには、最低でも2ヶ月(約60日)は熟成してください。
積算温度が1000〜1200度というのが最低限の熟成ボカシを作る一つの基準です。
積算温度とは日々の平均気温を加算して求めるものです。
仮に平均気温が20度ならば50日目の積算温度が1000度になり、ここが完成の目安になります。
発砲スチロールは気密性と保温性(断熱効果)が優れていますから冬場の寒い季節でも1日=20度で計算しても構いません。
- 出来上がったサイオンEMぼかしの全量を一度に使わないときは直射日光の当らない風通しの良い屋内で、ビニールシートなどの上に薄く広げて十分に乾燥させます。(パン粉のようになるくらい)
この乾燥過程の初期ではより一層の放線菌の増加が期待できます。ただし、乾燥をさせると長期保存は可能になりますが、菌の一部が乾燥工程で死滅をします。
直射日光にあてて乾燥をさせる場合は丸一日をめどとしてください。それ以上日光に直接さらすとアオコが発生しやすくなります。
- 乾燥させたサイオンEMぼかしをチャック付ビニール袋などに小分けしてしっかり中の空気を抜いて冷暗所で保存すれば2〜3年は十分に使えます。
注)上記はサイオンEMを使用した場合のものであり、サイオンEM以外のEMを使用して作ったボカシについては、品質や各種の効果効能に関してこの限りではありません。